対象者の人柄に迫り、読者に対象者や組織に対する親しみをもってもらいやすいインタビュー記事。
会話形式や語り口調だからこそのおもしろさがあります。
実際に読者はインタビュー記事のどのようなポイントに魅力を感じているのでしょうか。
今回は全国の男女463人を対象に「インタビュー記事に関する意識調査」を行いました。
- 調査対象:全国の男女
- 調査期間:2024年11月18日~12月2日
- 調査機関:自社調査
- 調査方法:インターネットによる任意回答
- 有効回答数:463人(女性286人/男性177人)
- 回答者の年代:10代 0.9%/20代 13.2%/30代 29.6%/40代 31.3%/50代 17.9%/60代以上 7.1%
インタビュー記事が好きな人は87.9%
全国の男女463人に「インタビュー記事が好きですか」と聞いたところ、「とても好き」「まあ好き」が合わせて87.9%となりました。
インタビュー記事では対象者から直接話を聞き出すので、第三者による推測が入りません。
「対象者が考えていることを、対象者自身の言葉で知りたい」と考えている読者にとっては魅力的なコンテンツです。
またインタビュー記事では話し言葉が使われるので、読みやすさがアップします。
「!」「…」「笑」といった、インタビュー中の状況を伝える表現や写真などで、インタビュー中の雰囲気や表情を紹介されています。
そのため、読者は対象者が話している様子をイメージしやすく、読み進めやすくなります。
興味のあるインタビュー記事の対象者は「芸能人」
どのような人のインタビュー記事に興味があるかを聞いたところ、「芸能人(35.0%)」が3割以上を集めてトップになりました。
「スポーツ選手(22.9%)」「インフルエンサー(9.7%)」も含め、著名人のインタビュー記事を求めている人が多くなっています。
憧れている著名人の話を聞きたいという人が多いのでしょう。
また「作家」「クリエイター」など、新しいものを生み出す人に興味をもっている人も多いとわかりました。
興味のあるインタビュー記事のテーマは「有名人のプライベート」
「興味のあるインタビュー記事のテーマ」の圧倒的1位は「有名人のプライベート(16.4%)」でした。
2位「挫折の乗り越え方(14.5%)」、3位「対象者の経歴(12.7%)」が続きます。
大きく分けて、インタビュー記事には「対象者を深く知る」あるいは「役に立つヒント」を求めている人が多いとわかりました。
憧れている人の私生活や経歴などは、相手を深く知ることのできるテーマです。
一方「挫折の乗り越え方」「メンタルの管理方法」「成功のコツ」などは、読者自身が成功するためのヒントを提供してくれるテーマと言えます。
1位 有名人のプライベート
- インフルエンサーの私生活(20代 男性)
- 芸能人の私生活や交友関係について(30代 女性)
- 好きな芸能人が使っているスキンケア・化粧品、家での食事など私生活(40代 女性)
1位は「有名人のプライベート」でした。
具体的には、芸能人やスポーツ選手、インフルエンサーの「プライベートでの交流関係」「持ち物やファッション」「普段の食事」などに興味をもっている人が多くなりました。
「憧れの人がどんな生活を送っているのか知りたい」という好奇心や、「日常生活のエピソードに共感したい」といった意識の表れだと考えられます。
2位 挫折の乗り越え方
- 「有名人が下積み時代をどう乗り越えたか」をインタビューした記事は、自分も頑張ろうと思えるのでついつい読んでしまいます(30代 女性)
- 困難をどう乗り越えたのか。過程や考え方を知ると励みになるし、人生のヒントを得られる(40代 男性)
- 苦難や挫折をどう乗り越えて来たのか。分野問わず興味があります(60代以上 男性)
「挫折の乗り越え方」が2位。
有名人やビジネスで成功している人が挫折を乗り越えた経験を知ることで、勇気や元気をもらえる人も多いようです。
ポジティブな気持ちになってモチベーションをあげるために、困難の克服体験に触れたいと考えている人も多いとわかりました。
3位 対象者の経歴
- バレエダンサーになるまでの経歴など(30代 女性)
- 体験記に一番興味をそそられる(40代 男性)
- どのような人生を歩んできたか。転機になった出来事などに興味があります(50代 女性)
3位は「対象者の経歴」です。
珍しい経歴の人なら、経歴を語るだけで読み物としておもしろいものになります。
また対象者の人生経験から、人生の転機や好転のきっかけを読み取りたいという人もいました。
4位 メンタルの管理方法
- 前向きなマインドの作り方(20代 女性)
- 精神力を鍛える方法(30代 女性)
- 精神的なアドバイス(50代 男性)
4位は「メンタルの管理方法」です。
社会的地位を築いている人は、プレッシャーのかかる場面を乗り越えた経験も多いと考えられます。
例えばプロスポーツ選手であれば、「優勝のかかる試合に挑むシーン」「もう少しで負けが確定するところまで追い込まれたシーン」などですね。
上記のような場面を乗り越えてきた経験や心構えを共有してもらうことで、メンタルの鍛え方や保ち方の参考にしたいと考えている人も多くなりました。
5位 成功のコツ
- 成功した秘訣ややり方(30代 女性)
- 成功のポイントや秘訣は何か(40代 男性)
- 成功するまでの日課など(50代 女性)
5位は「成功のコツ」です。
「著名人やビジネスパーソンが成功するためにやってきたこと」や、経験から得た「成功するためのコツ」を知りたいという人も多くなりました。
サクセスストーリーより「コツ」を求めている人が多いことから、自分の生活やビジネスにも活かしたいという気持ちが感じられます。
なお、サクセスストーリーを知りたいという人からは、「応援しているアイドルがデビューに至るまでのストーリーを知りたい」といった回答も寄せられています。
成功談に自分が使えるコツを求める人と、「好きな人のことを知りたい」という気持ちの人がいるのですね。
似たようなテーマを取り上げる際にも、訴求を変える必要があるとわかります。
インタビュー記事で知りたい情報1位は「具体的なエピソード」
「インタビュー記事で知りたい情報」の圧倒的1位は「具体的なエピソード(36.9%)」でした。
2位「役立つ情報(16.0%)」、3位「対象者の人柄(13.0%)」、4位「対象者の私生活(6.7%)」が続きます。
「対象者が語る具体的なエピソード」「人柄がわかるような情報」など、インタビュー記事ならではの情報に注目している人が多くなりました。
インタビュアーの力量によっては、「裏話的なエピソード」や「今まで明かされなかった対象者の本音」なども引き出されるのが、インタビュー記事の魅力です。
1位 具体的なエピソード
- 芸能人だからこそ体験・経験したエピソード(30代 女性)
- 具体的なエピソード。自分も実践できるかもしれないので(40代 女性)
- 隠されたエピソード。今だから話せる裏事情(60代以上 男性)
1位は「具体的なエピソード」でした。
インタビューでは対象者にフォーカスしますので、対象者が実際に体験した具体的なエピソードを引き出せます。
対象者の実体験を知ることで、新鮮な驚きがあったり、共感したりできるでしょう。
例えば困難を乗り越えたときの具体的なエピソードがあれば、読者自身が置かれている状況と重ね合わせやすくなることもあります。
また「裏話的なエピソードが聞きたい」など、今まで表に出てこなかった新しい情報を求める人も多くなっています。
2位 役立つ情報
- 現実的で、実生活で試そうと思えるような美容法。サロンに通うなどではなく、自宅でできるようなエクササイズや美容法(20代 女性)
- 子育てに役立つ知識(30代 女性)
- インタビュー記事でないとわからない役立つ知識(40代 男性)
「役立つ情報」が2位。
インタビュー記事の内容を生活に生かしたいと考えている人も多数。
例えば「整理収納アドバイザーに、簡単に取り組める整理整頓術を何個か教えてほしい」「投資の専門家に、初心者でも具体的に取り組める投資方法を教えてほしい」といった回答がありました。
役立つ情報をまとめるなら、インタビュー記事よりもコラム記事のほうが効率的です。
しかし有名人や専門家のインタビュー記事形式にすることで、「より具体性の高い役立つ情報」だと感じられる効果があるのだと考えられます。
3位 対象者の人柄
- 人柄がわかる内容を知りたいので、日常の記事に興味をもちます(40代 女性)
- 素顔がのぞく何気ない発言(50代 男性)
- 言葉遣いや人柄(60代以上 女性)
3位は「対象者の人柄」です。
インタビュー記事には、取材対象者の個性や人柄を伝えやすいというメリットもあります。
趣味や個性的なエピソードのほか、対象者の話し言葉によっても、対象者の人柄が伝わります。
また記事内でインタビュー中の雰囲気や態度について言及することも可能です。
4位 対象者の私生活
- 対象者の生活がわかるようなプライベートな内容(20代 女性)
- 男性アイドルの交友関係(30代 女性)
- 普段オフのときには何をしているか、仲の良い選手や有名人は誰かなど(60代以上 男性)
4位は「対象者の私生活」です。
インタビューのテーマでも「有名人のプライベート」がランクインしていました。
情報としても、具体的なプライベートの過ごし方について知りたいという人が多くなっています。
5位 対象者の生い立ち
- 幼いときの過ごし方(30代 男性)
- 幼少から学生時代にどう過ごし、どんなタイミングで今の仕事につながったか(40代 女性)
- どのような子ども時代を過ごしてきたか(50代 女性)
5位は「対象者の生い立ち」です。
有名人や成功を収めた人がどのように育ってきたのかが気になる人も多数。
20代以下からの回答は少なかったことから、やや年齢層が高めの人からの関心が高い情報です。
有名人の幼少時代や育てられ方を知り、子育ての参考にしたいと考えている人も多いのかもしれません。
同率5位 対象者の本音
- 本音や核心のような、建前ではなく感情論に似た部分が聞きたいです(30代 男性)
- 本人でしか知り得ない、試合中などの気持ち。元犯罪者なら、犯罪中の気持ち(40代 女性)
- 本音や本心(50代 女性)
同率5位は「対象者の本音」です。
「大きな大会で優勝したとき」「賞を獲得したとき」「ビジネスが成功したとき」などの正直な心境を聞きたいという人も多いとわかります。
対象者が抱いた感情について引き出せるのも、インタビュー記事の特徴だと言えます。
7位 対象者の価値観
- 対象者の根幹を成す価値観(10代 男性)
- 対象者が苦労して得た人生観(40代 女性)
- 対象者の物事の考え方がわかると嬉しいです(50代 女性)
7位は「対象者の価値観」です。
「成功した人はどんな価値観に基づいて行動しているのか」あるいは「憧れの人はどんな価値観をもっているのか」を知りたい人も多いとわかりました。
自分と近い価値観であれば共感できますし、違った価値観であれば「そんな考え方もあるんだ」と、新たな気づきを得られる可能性があります。
まとめ
アンケートからは、芸能人など、著名人のインタビュー記事を好んで読んでいる人が多いとわかりました。
「推しのインタビューなら、どんなテーマでも読む」という人もいて、インタビュー記事は対象者選びが重要だとわかります。
テーマとしては「芸能人のプライベート」など表に出にくい内容のほか、「困難の乗り越え方」「成功のコツ」など、人生を切り拓いていくようなものが人気。
「ポジティブになれるインタビューを読みたい」というコメントもあったことから、苦労の中にも希望を感じる内容が好む傾向があるようです。
またインタビュー記事は対象者が自分の言葉で語ることから、人柄や感情・心情を伝えることに向いていますし、人柄が伝わるエピソードや本音を求めている読者も多いとわかりました。
最後に当記事の監修者、フリーアナウンサーの岸春江氏の総括コメントを紹介します。
インタビュー記事は、読者に気づきや感動を与えてくれる特別な存在ですね。
具体的なエピソードや本音が語られると、対象者との距離がぐっと縮まり、自分自身の生活や考え方に置き換えて見つめ直すきっかけになるのが魅力です。
読んでいる時間は、単なる情報収集ではなく、対象者との「心の交流」を楽しむひとときのように感じられます。
憧れの人の意外な一面や、困難を乗り越えたエピソードを知ることで、前向きな気持ちになれるのも嬉しいですね。
温かみや深みのある記事に触れることで、日々の中に少しの楽しさや希望を見つけられるのも素敵だと思います。
これからも、そんな豊かな体験を与えてくれる記事との出会いを楽しみにしています。
■監修者プロフィール
岸 春江氏(公式サイト)
・フリーアナウンサー/絵本ナビゲーター
・独立行政法人国立青少年教育振興機構 認定「絵本専門士」
・絵本部「ファンタジア」主宰(2019年北海道読書推進運動協議会「優良読書グループ」奨励賞)
・子どもとメディア北海道 インストラクター
野村證券に入社後、カウンター業務で多くのお客様に「声」を称賛されフリーアナウンサーに転身。数々の番組やCMに出演するほか、著名人の講演会やトークショーの司会など多岐にわたって活動。中央競馬全レース中継「グリーンチャンネル」は番組スタート時から現在まで札幌開催パドックアナウンサーとしてレギュラー出演中。
また、「絵本と電子メディアの子育てについて」の講演活動を行うなど、子育て支援にも力を注いでいる。